失踪日記を読んで
吾妻ひでおの「失踪日記」を読んだ。たけくまメモ: 極限漫画の世界.で見て読みたいと思っていたのだが、本屋に行く暇が無くてそのまま忘れていた。それが、今日たまたま行った本屋に売っていたのだ。運命?
これ以前に、吾妻ひでおの作品を最後に(発表された時にリアルタイムで)見たのは確か20年以上前だと思う。すごくマイナーなおたく系雑誌に、「スプーンおばさん」のパロディを描いていた。しかも、始まって2ページくらいでストーリーは破綻、そのページの最後のコマには「私くらい長くやっていると何を書いても内容は同じです」という本音?が書かれていた。衝撃だった。
その作品を読むまでの吾妻ひでおに対する私の評価は「誰でも知ってる一流漫画家でSFに造詣が深いけどここ何年かの作品にはやる気が感じられない(又は持続しない)」というものだった。しかし、上記作品では、吾妻ひでおは自らの才能が枯渇しつつあることを正直に告白していた(と私には読み取れた)のだ。
そして、何故私がそれを今でも強烈に覚えているかというと、そういう告白ができる吾妻ひでおという人間の強さに感動したからなのだ。いや違う、それは弱さではないかと言われるかも知れない。しかし、その弱さをさらけ出してしまえる人間、その後も失踪・入院しそれを漫画として発表してしまえる人間、これに私は哀しい強さを感じてしまうのである。
「失踪日記」も全編に哀しい強さが溢れている。意識的に明るく面白く描いてはいるが、その奥には深い闇とそれに抗う意思がある。傑作である。
| 固定リンク
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- <書評>BLUE DRAGONラルΩグラド(2007.11.17)
- 新訳Ζガンダム(2007.11.10)
- 不二子ちゃん(2007.09.24)
- <書評>Monster(2007.07.08)
- 悪寒(2007.06.09)












コメント